どうしてぼくはこんなところに

されば銘記せよ!人の命は短く、その住まう処は地の狭き片隅なり

デザインへの意識をうまく社内に浸透させることができずに苦労している話

f:id:chadyukio:20180414222120j:plain ぼくたちの業界にとって、ここにこの機工を備えるっていうのは当たり前すぎるほど当たり前なんですが、それもどういう意図をもって、ユーザーにどう使って欲しいか、どう感じて欲しいかを考えて設計して、その設計意図をユーザーに知ってもらうために発信するような…

 

「要するにあれでしょ、持ち運べますってことでしょ?」

うぉぉぉぉお!!!ああああああ!!!クラッシャー!!!

ぼくもキャリアが浅いんであれなんだけれど、いま組織にデザイン思考を取り入れようとトライしてますがとても苦労してます。「要するに、あれでしょ」って一番言っちゃいけないと思うんですよね。デザインストーリーを作ろうとしてるのに、それを全部なかったことにしちゃったんだから。ぼくがいまやろうとしているのは、デザイン思考を通じてブランディングをしようとしてます。

ブランディングについては機会があれば別で詳しく説明しようと思いますが、キーワードは顧客との各接点での体験の均質化だと思っています。うちは中小で潤沢な資金があるわけでも広告費をかけることができるわけでもないので、ネットで発信する情報と、問い合わせや営業のセールストークの対応とを均質化して同じ熱量で語ることができるようにしようとしています。

そのために、デザイン思考を取り入れて、ユーザーにヒアリングするのはもちろんですが、ただ聞いてきた内容をそのままプロダクトに反映させるのではなくて、うちから最初に提案した内容について設計意図までしっかり語れるようにさせたい。それを通じて、このプロダクトは本来どうあるべきかまで問うことができるような組織にしたいと思っています。

それができれば、プロダクトを個別にカスタマイズして納品するケースが多いうちのような会社にとっては、ただの下請けから、ユーザーとともにベストな解を考えてくれる会社、というようなB向けブランディングができるんじゃないか、と期待しています。

だからストーリーが大事だと思っていて、それを「要するに…」なんてせっかく積み上げたストーリーを丸々取っ払われてしまうと、いままでのように言われたものをその通りに作るっていうそれまでと同じことで、どこのメーカーでもできること。付加価値がないので、価格競争に延々と巻き込まれ続けていつまでたっても原価近辺での販売に終始して消耗戦を繰り返すことになってしまうのです。

設計意図までしっかり語るっていうのは、デザインストーリーを作りたいからです。具体的に誰のどういう状況をイメージしているのかとか、ユーザーにどう反応してほしいから、ここはこういうデザインにしていますというような。

その「どう反応してほしい」というのは、つまりプロダクトだけではなくて、その「体験」も売っていますということを明確にしたいからです。最近の言葉でいうとUI/UXというやつです。

ぼくはユーザーは知らず知らずのうちにぼくたちが意図した行動を取ってしまう、そうさせてしまうのが優れたデザインだと思っています。知らず知らずのうちにっていうのは自然と、無意識にやってしまうということで、これは脳に負荷がかかっていない、省エネ大容量みたいなイメージを持っていて素晴らしいことだと思っています。

でも、それがあまりにも自然すぎると売り手もそれに気づかないので、セールスポイントが見えないまま販売することになってしまい、他社競合品と比べて付加価値分の価格が考慮されずに、うちの製品は高いからダメねで終わってしまいます。

だから、売り手であるぼくたちメーカーの直接お客さんにも知ってもらいたい、同じ熱量でもって売ってもらいたいのです。

ここまで書くと、デザインというは単に外見の問題ではないというのがわかると思います。(単にぼくがビジュアルデザインが苦手というのもありますが…)

よく言われることですが、デザインとは問いに対する解です。課題に対する正しい問いを設定することも大事ですが、それをいきなりやれと言われても難しいのはわかります。

ですので、それは徐々に習得していくものとして、その課題や本来どうあるべきか、というような問いを考え続けることで、うちのプロダクトもブラッシュアップされていくと思っていて、さらにはそこから競争力のある製品が生まれることも期待しているのです。

そんなふうに書くと、「デザイン思考すげー」という万能感がでてきますが、そこに至るには冒頭のように、それまでの大半の人生を「大量生産、大量消費」で数を作れば原価が下がり利幅が多くなるというアイデアなど、昭和の高度成長期の人たちの凝り固まった頭を解きほぐすという困難極まりない課題があるわけで、見えないものを見せようとしているわけで、そう簡単な道のりではないのです。

何度も言いますが、「要するに…」っていうのは、一人で理解するために言葉にせず、頭の中で整理する分には100歩譲って良いですが、言葉を発するのは言語道断です。まわりの人たちも「要するにそういうことか」と、植え付けようとしたデザイン思考を全部刈り取った状態で整理してしまうから、まったく意味なかってしまうんですね。デザイン思考を醸成できないんですよ。