今月から営業部に中途採用の20代の営業マンが3人も入ってきた。ぼくより若い!新卒含め本社の人間でぼくより若い人は4人になった。うちみたいな「〇〇の製品のパーツのここ」みたいな全く表に出ない地味な製品を作ってる中小メーカーにはいまの人手不足の時代には苦しかろうと思う。華やかさとは無縁だから。ほんとうにありがたい。
こういうことは別にうちだけに限らず、それなりに大きなところでもあることだと思う。やっぱりみんなわかりやすかったり派手なところをやりたいだろうから。
優秀な人は引く手数多だし、逆に人気企業も人を選び放題というのはいつの時代も変わらない。それで、転職でも就活でも内定でないとかで、選ばれないと結構ヘコむ。労力をかけていたり、手ごたえを感じていたりすればするほど。
特に就活なんてキツい。どうやったらそのポジションが手に入るのかよくわからないから。だってそれまでの人生って、人気の商品でも朝早くから並べば手に入っていただろうし、入試にしたってきちんと数値化された合否の基準があった。入試の対策で過去問をやって傾向を掴めば良いだけで、言ってしまえば敷かれたレールを上手く走れる訓練をやっておけばよかったのだから。でも就活は違う。いくら履歴書がピカピカで光り輝いていて優秀でもエントリーしたところすべて合格になるとは限らない。
実際、うちの会社にも今回の応募の中に中国人の優秀そうなのがいた。でも、落ちた。落とした、正確には。あまりにも優秀そうだったのでうちを踏み台にしそうだったから。自社批判になってしまうのだけれど、なんとも尻の穴の小さい上司、会社だと思った。会社の成長より、早期の転職による採用コスト未回収リスクを気にしたのだ。別に勤めてる間に結果を残して行ってくれれば良いと思うのだけれど。海外営業をやっている身からするとぜひとも欲しい人材で、あわよくば中国語を学びたかったのに。
こうなってくると、正解が何かわからなくなる。
ぼくが今日言いたいのもそこで、別に、面接で落とされたって、あなたが他の候補生と比べて劣ってたからだとは限らないんだから気にしなくていい。
募集要項では営業職となってても、サッカーで言うとパラメーターの偏ったワントップの点取り屋が欲しいのではなくて、中盤で全体を俯瞰できるバランサータイプが欲しいとか、実は細かく欲しい人材の要望というのはある。だから、人事を尽くして天命を待つ、やることをやった後のことは、運でしかない。
そうは言っても、頭でわかってても日々、「今回はご縁がなく…」なんていうお祈りメールが届くのはなかなかキツい。「なんで?」って理由を求めたくなるかもしれない。
それは恋愛も同じ。ぼくのすごく好きな映画で「マイブルーベリーナイト」っていうのがある。まだ生え際が後退していないころのイケメンのジュード・ロウとノラ・ジョーンズが主演の恋愛映画。内容は、主人公のノラ・ジョーンズが彼氏に浮気されて振られるっていう憂き目に会ったのを契機にカフェのオーナーのジュードロウと惹かれあうというもの。
ノラは、その元カレの家の前のカフェで「あいつが来たらこの合い鍵渡しといて」みたいなやりとりをそこのオーナーのジュードロウとやる。
彼女はめちゃくちゃ引きずってるから、それをきっかけにしてよりを戻したいとどこかで考えてて様子を見に結構カフェに通うんだけど、一向にカフェに元カレは現れない。
ジュードロウの方は彼女を気になり始める。けど彼女は元カレのことで頭がいっぱいで目の前のイケメンが見えていない。彼女は彼氏に振られたのには何か理由があるはずだと考える。それを知りたい、なんとかして。
ジュードロウはそんな彼女を諭すように彼女が食べるブルーベリーパイになぞらえて、「(カフェには何種類かパイがおいてあって)実はブルーベリーパイはよく売れ残るんだよ。でもね、それはブルーベリーパイが悪いからじゃないんだよ。ただ選ばれないだけなんだよ」という話をする。
すごく良い話で、この映画の見どころなんだけれど、この時点では彼女はまだ元カレに囚われていて、彼女は振られた理由を探す旅にでる…。
ほんとにおしゃれで良い映画だからぜひ観て欲しいんだけど、「何も悪いところはなくて、ただ選ばれないだけ」って表現が見事。
なんにでも応用できる。もちろん、就活だとかなら、ダメな結果をしっかりを受け止めて反省して、まずかったと思われる点を洗い出して改善をすべきだけれどそれにも限度がある。
その先は、ただ選ばれなかっただけだ、運がなかったな、次行こう、と自己肯定感を持つことが大事になってくる。
ぼくにしたって、面接で落とされたりすると、あいつほんとに見る目ないなと思うようにしている。自分の精神を保つために。
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