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2018年、今年読んだおすすめ本ー経済編ー

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書評ブログを名乗っておきながら、ぜんぜん本の紹介をしてなかった。ぜんぜん本を読めていないというわけではなくて、ただブログにアップにしてなかっただけ。今年は経済と実務系の本が多かった。小説もいくらか読んだし、いつも通りかな。でも、バイオ系の本はあまり読んでいないかもしれない。

年末ということで、今年読んだ本の中から良かったものを紹介しようと思う。多くなりそうなので今回の記事では経済というくくりで4冊。

 ちなみに、なぜ経済の本を多く読んでいるかというと、その語源が中国の古典にでてくる経世済民(=世をおさめ、民をすくう)、英語ではエコノミクス。ギリシャ語の『オイコノミクス』からきてる。オイコノミクスとはどういう意味かというと、共同体のあり方という意味。個人としてだけでなく、みんなでどのように生きたら皆で幸せになる事が出来るか?っていうのを考える学問が経済学なわけで、それはもうおもしろいでしょ。

 

 1.

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

 

タイトルはあれだけれど、発展する街にはどんな要因があってどんな共通点があるのかを経済学の視点から綴った「まちづくり」の本。

経済学の視点から現実に起こっていることを分析した本なのでこうすれば街は発展する!という類の本ではない。もっというと、相関関係はあっても因果関係まであるとはいえないのでは?と思わなくもない。

けれど、いち住民として住む地域によって同じ職業でも収入に差が出てくるのでは話は変わってくる。だって、だれしも楽して多くのお金を稼ぎたいから。本書を読めば発展しそうな街を嗅ぎ分ける嗅覚を養えるかもしれない。

タイトルだけ見るとしょうもない本なんだけれど、地域活性化とかに興味あるのであればぜひ読んでおくべき本。街が発展するためには近くに産業の集積地が生まれていることが大事でそれはざんねんながら、狙って作ることはできない。

唯一あるとすれば、極論その産業のカリスマを定住させることができるかにかかっているようだ。特区よりもいかに少数の個人を優遇することがドライバーになるっぽい。それを世間が認めることができるかというと…。ぼくはとても参考になった。

 

2. 

Economic Gangsters: Corruption, Violence, and the Poverty of Nations (English Edition)

Economic Gangsters: Corruption, Violence, and the Poverty of Nations (English Edition)

 
悪い奴ほど合理的―腐敗・暴力・貧困の経済学

悪い奴ほど合理的―腐敗・暴力・貧困の経済学

 

 要するにコラプション、腐敗した政治の話で援助資金はどこでネコババされるのか、外部から腐敗の原因を知ることができるのかという本。

おもしろかったのは、インドネシアで有力者が亡くなるとある企業の株価が下落する。これは、その有力者がオーナーだからというわけではなく、その有力者との癒着によって利益を上げていた企業で、その有力者がいなくなればもう同じように利益を上げることができない、と市場が判断したと見えるらしい。ほんまかいな、と思うんだけれどよくよく考えるとこれはすごい話。

あと、アフリカなんかである黒魔術による魔女とされた人が村人から殺されちゃうやつ、実は決まって農作物の不作のときに起こるのだそうで、その魔女というのも村の高齢女性が多いというのでなんというか、食い扶持を減らすためという身も蓋もない話になりそうというのがなんとも。

そして、ルワンダで虐殺が起こったのも似たような理由なんじゃないかという説があるらしく、なんでもその年、ベトナムのコーヒーが大量に市場にでたんでルワンダの主要産業であるコーヒー豆の価格が大幅に下落したんだそうで。

ほんとだとしても、そんなの予測できないでしょって話でそんなバタフライ・エフェクトみたいな話知らないよって感じなんだけれど非常に興味深かった。おすすめ。

 

3.

 実はしっかりした金融の本。利益至上主義ってしんどくないですか、インターネットの世界ってWINNER takes ALL だけど、それってぼくたちが本来インターネットに求めたことじゃないよね、利益を上げることも大事だけれど、バランス考えてみない?じゃないと誰も得しないしんどい世の中になるよねって本。

世界銀行による「金融包摂(financial Inclusion)」の定義は「すべての人々が経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況」ということ。昨今話題になっている、社会的困難を抱える状況でも社会参加の機会を与える、社会包摂という動きの金融版と表現する。

 

「5000万円のプロジェクトが入ってくるのはありがたいけれど、それよりも5万円のプロジェクトを1000個つくりたい。美大生が5万円で個展をだしたいとか、地方の若者が10万円でフリーペーパーを作りたいとか、従来の金融のあり方のままでは相手にされないような人たちの受け皿になりたい」

 

 著者が代表を務めるクラウドファンディングの会社、キャンプファイヤーで働きたくなる1冊。

 

4. 

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

 

 食べログ全国1位の国立のカフェのオーナーの著書。著者は元コンサル、ベンチャーキャピタリスト。コンサルといえば、ビジネスの効率化を図るもの。となれば、そんな著者の経営するカフェも効率化されているのかというと必ずしもそうではない。

効率化とは機械的で無味なもので、人間としての温かみを奪ってしまう。しかし、経営している以上、利益は出さないといけない。この問題に、利益を追求したい気持ちを抑え、一見遠回りに見える道を選ぶ。

コミュニケーションを大事にし、一生懸命、手間暇をかける。そしてそれをしっかり顧客に説明するし、時には実際に体験してもらう。

UXとかコミュニティデザインとかサービスデザインを考える上で参考になるだけでなく、マーケティングのお勉強もできる。おすすめ。

 

一般に、不特定多数の、顔の見えない参加者を想定した市場では複雑な価値の交換は成り立ちにくい。それが「多くの人に普遍的に認められる価値」である必要があるからだ。結果、「お金」「金銭的価値」への収斂が進む。同じモノなら安ければ安いほど良いという具合だ。ところがこれが「私」と「あなた」のような顔の見える関係となれば必ずしもそうではなくなってくる。他の人がなんと言おうと、それが世の中の一般に受け入れられている価値でなかったとしても、「私」がそこに価値を認めるのであれば、「あなた」との間で交換が成り立つ。



年末年始、なんだかんだでやることってないだろうから、読んでいないならばこの機会にぜひ。